zineフェアが終わったので、投下します。きょねん420本買って10本いただいてななかからのベスト100、はzineを読んでね、ネットでは50だけ!
まずは50から26位。
50. N/A “home (salon .0.01e ver)” (Psalmus Diuersae)
ことし、なにかしらでかくといっとう反響が大きかった家付カセットテープ。精巧につくられた一軒家の紙模型に、輪ゴムでカセットテープがとめられてるっていう。梱包も段ボールで覆いきれてなくって透明なテープの隙間から中がみえるくらいとかなり粗く。細かいのか粗っぽいのか意味がわからないところが、よい。意味不明すぎる。Susan Balmar新名義なRin Yabaに、そのほか誰だかわかんないひとたちたくさん。いや、もしかしたらすべてSusan Balmarなのではくらいにおもってたり。その家の内装工事をしてるかのようなぐずぐず金属ノイズだったり、ゆるゆるローファイシンセだったり、D/P/I系なノイズとぶちぶちな展開自体がビートになっていくようなのだったり。SP303を解体して木枠ななかに再構築したものを売り出したりとか、頭おかしい。
Bandcamp、消えてる!
49. Magic Eye “Babylon” (Not Not Fun)
カセットテープのリリースはすべてよかったNNF、なかでもこれはすばらしかった。女の子ヴォーカル、そこにゆるく反響するサイケデリックなシンセとギターの音のつらなりが重なってゆらゆらと。アクアリウム・ロック、らしいです。それくらいの淡さがあります。淡い雰囲気、とかではなく、音自体が淡い。音の質がね、かなりなローファイ加減。カセットテープだから、とかいう次元ではなく。30年くらいまえの映像をYouTubeでみてるくらいな音の質。A面4曲目、声だけな部分があるんだけれど、伸びやかに、なにかなつかしいかんじの音のつらなりを高く伸びやかな声で。でも、こまやかな震える音の加工と録音のローファイ加減で、もはや声をきいてる感覚ではなくなってくるし、そこにあふれてくるほかな音もかさなって、すごい。B面はじめなギターの音のつらなりはかなりきゅんきゅんだし、そこに重なるもはや声なのかシンセかなにかなのか判別不可能なドローンはうつくしく。2曲目もとちゅうから、かなりの音の洪水、なんだけれど、ローファイすぎてすべてが混濁。でも、ノイズっぽいかといえばそうではなく、あくまで淡くきゅんときます。B面ですべての音がとだえたあとの余白、すごくすごく遠くで、まだ鳴ってるよね、うっすらと。これこそ、カセットテープできくべき。靄のむこう、というよりも靄の水分が多すぎて、そこらで泡立って。その泡のなかをゆらゆらと浮び上がるほんもののではなくイメイジのインドの風景、イメイジだけあって雰囲気インドなんだけれど、泡のなか、現実とそのイメイジな風景すべてが混濁、境目をみうしなって、泡が消えたときにはじぶんの意識もはじけと んで流れさってしまう感。
48. Caroline Says “50,000,000 Elvis Fans Can't Be Wrong” (Noumenal Loom)
この100本の並びのなかで、いっとう安心してきける。カセット、インディなレーベルもたくさんで、けっこうでてるけれども、やっぱりどこからだすかって大事。2014年いっとう勢いのあったカセットレーベルのひとつなここからだすっていうのは大事。そして、これでもかとさわやかなポップです。声の気怠いかんじがまずよいし、バンドな曲のあいまに、ざらついたテープ音色のドローンにピアノな曲もあって、幅があったり、というかその3曲目がものすごく好き。もしレコードだったら、目立たなくって埋もれてしまうやもだけれど、2014年好調なここからだしで、出会えてよかった。きょねんは女性なSSWへの回帰がわたしのなかあって、こういうのはすごくツボです。この月はBridgetownからなAutococoonもよかった。
47. Heroin In Tahiti “Canicola” (NO-FI Recordings)
Avant! 姉妹レーベルなYerevan Tapesからの7インチがよかったイタリアの。ぎとぎとイタリア男の汗まみれだった7インチとはちょっとフンイキがちがってます。男なギターがぎらぎらするなか、重なるシンセは光を帯びていて、そこに、どこかしらの民族ティックなパーカッション、インダストリアルぎりぎりのしのしがすがすビート、不穏にたゆたうシンセなどが重なって、さらにハエの音やらなフィールドレコーディング、これまた民族ティックな男たちの合唱などが重なって、異国感異世界感がたまらなく。とくにA面の長尺1曲なの、よいです。ホドロフスキー感あり。
46. Angel 1 “Fy” (Lillerne Tapes)
おおよそみんながベストにいれるほうの1080pのん、買えたの年明けになったので、こちらを。Beer On The Rug、Dolphine Tearsとのsplitでもよかったけれど、これもけっこうよかったっていうので、あえて。Angel 1は全部よい。ニューエイジィな、っていうところでとまるのかとおもいきや、どんどんと進化してゆくかんじがたまらない。今作はざらついたノイズ、かなり音の幅をなくしたアンビエンス、途中からビートもはいってきたりと、アンビエントな作品でも、しずかにやりたい放題だし。この方、裏MVP感はあるとおもう。
45. Oddgrad “Hardcore Plastic Surgery” (Haunter Records)
Bleepが年末にまとめてたイタリアン・ニューウェーヴコンピレーション、あのあたりがあまりに好きなんですけど、Hundebiss、Gang Of Ducksに並んで、Hauterもすばらしいです。ハードコア整形。がっびがび不穏ノイズのうしろでごよごよ加工されたはなし声サンプリングがテープのかすれ加工されたりしながら、ホラーなシンセも重ねてノイズがふくらんでゆき。そしてNostilevo系がびがびビートもあったりと、ただただ不穏な。なにがいいってHaf Hafによるリミックスがすばらしい。はなし声な曲、声に変な奥行きがだされてるし、Haf Haf感あるがびがびなのに立体的なビートから、唐突な音の襲来と、Haf Hafがはいってたから選んでしまいました。
44. Owen McLean “Hitomi's Diary / Modern Kitchen” (Where To Now?)
なんやねんこのタイトル、っていうあたりから、もうすでによい。A面がひとみちゃんの壮絶な暗黒高校生活日記。いや、ひとみちゃん、おっさんだろ。全体をうっすらノイズがつつみこむなか、低音変調声の細切れ、ダブ処理な音、ばっきばきなノイズやら音の断片にうつくしいアンビエンスなシンセの音のつらなりと、曲がたくさん、で、きいてるともはやいまがどの曲だかわからなくなる。Torn Hawk感あるぎらぎら感もありながら、もっとはちゃめちゃ。それでいて、アンビエンス感がうっすらあったりで、ききやすくもあったり。いや、わたしがききやすい、っていっても信じなくってもよいんだけれど。こういうはちゃめちゃ感、たのしい。B面のModern Kitchenはモダンなだけあって、ばきばきのしのしテクノ感。シンクまでぶった切って火花飛び散ってる感。ポーランドの春、サンプリング声が飛び交うのしのしがすがすテクノがよい。曲数が22曲、ころころ表情がかわるんで、説明しづらいんですが、たのしくかっこうよい。
43. Q///Q “Grude Gourds” (Singapore Sling Tapes)
German Armyの別名儀な、これ。Final Copに、あとバンドのやつ(なまえ忘れた)のほか、いったいどれだけ出したんだろう。へろへろすぎるヴォーカルというかただのおっさんのひとりごとみたいなん、そこに液体感ある鳴りがすばらしいシンセによるビート、それらを包み込むシンセドローン。German Armyよりも、ポップなかんじがしますね。ここからGerman Armyもよいよとダマせそう。いや、よいんだけれど。終始ゆるいんだけれど、シンセの1音1音の変化してゆくさまに音色自体もよいし、ドラムマシーンなビートがはいってきたりとふだんなGerman Army感もあるし。同時期に買ったスウェーデンのSelf-Helpのんもよいです。Jerry Paperよりな、ゆるいながらもシンセもしっかりきかせるかんじがあります。
42. Nima “See Feel Reel” (Harsh Riddims)
なぜか追っているアトランタシーン。DKAと並んでアトランタ重要レーベルなここ。ことしの女子けっこう上位です、わたしのなか。オークランドのKristine Lirio。Yohunaとからんでいたりと、活動歴はけっこう長そうだけれど。ローファイシンセ女子、っていってしまえばそれまでなんだけれど、この周辺にあるビートがけっこうはいってくるわりにはどこかゆるくおかしいかんじ、そこに女子声っていう組み合わせが中心。それがかなり幅の広いかんじで、展開してゆきます。変調声、クラシカルでドリーミーなシンセの音、ノイズをまとったビートをいれてみたり、ダブなはじまりだったりと。Feat. なんたらな曲がいくつかあるけれども、そのなんたらが誰ひとりとしてわからないあたりもよい。L.W.H. っていうひとのラップっていうのかなんていうのか、アホそうでよいです。アトランタからセカイへな女子、Claireにつづくのはこの子だとおもう。ほかにアトランタ女子をおもいつかないだけなんだけれど。
41. Jerry Paper / Andy Boay “The Now Sound For Todays Lovers / Turn Of The Century” (Hausu Mountain)
Jerry Paperにとっては、Orange MilkとPatient Soundsからなレコードで、飛躍な年でした。でも、1本くらいまとまった新作なカセットテープ出してほしかったなとかおもいながら、これもよかった。Patient Soundsのレコードの延長なかんじで、いつもなJerry Paper、ってかんじだけれど、常によいので、大好き。ほんとメロディがよいし、なにかきっかけがあれば、地下ではなくちゃんと人気がでるとおもう。split相手なAndy Boay、カナダではDirty Beachesあたりとも絡んでたりで、なまえは知ってたけどきくのんはじめて。強い光のようなドローンにリヴァーブかかりまくりな声に、南国感あるビート、そこに液状シンセとサイケなギター、中盤すべての楽器の音が暴発、ノイズと化して、後半はドローンとうすいビートと声の重なりっていう、こちらもよかった。
40. Foodman “DRUM DESU” (Noumenal Loom)
いま、日本の地下な音で、日本だけにとどまらずにセカイ中でもっとも人気があるのって、食品まつりさんって断言してもよいですよね。ダウンロードなEPもそれぞれよかったし、お会いできたし、ライブみるたびに音の雰囲気ちがうし、インターネットとかでも悪いかんじのこといわない仏のような方だし。で、ことしはDARK WEBもだしたNoumenal Loomから。よいレーベルからよいタイミングででるって、すばらしい。Orange Milk系暴発シンセから、ドラム乱打、Giant Claw系立体シンセ、Juke / Footworkなビート曲、ローファイロウハウス曲、おもちゃ感な弾き語り、ニューエイジィ音色なシンセ反復と、さまざまジャンル詰め込み放題。Koi No Utaとか、あちらの方たち、どうきいてるんだろうとか、たのしい。最高なんだぜぇ、と口ずさんでました。なにより、カセットテープにあってるとおもう。日本のひとたちも2014年はノリでカセットテープでリリースするところ増えたけれど、CDでもよくないかとおもったりと、必然性がなくって、無視してたんだけれど、食品まつりさんには流れがちゃんとある。2015年もたのしみ。
39. Machine Woman “Pink Silk” (Tesla Tapes)
Gnod運営なTesla Tapes、2014年のわたしのなかでベストレーベルのひとつ。そこからロシア出身なAnastasia Vtorova新名義。これまではFemale Band名義で、Italian Beach Babes、Haus Of Pinsからカセットテープをだしていて、シンセにノイズに楽器も弾いてるというかな床演奏、ローファイ感、初期U.S. Girls系統な女子だったんですが、どんどんとノイズへ移行。そしてこの名義になって、声ドローンにつつみこまれるなか、立体的なビートがばすばす打ちつけられてな反復。変調話し声の重なりとズレに、しずかにうなる機械のノイズ、ぼこぼこ脈打つビートと、ミニマルで硬質なかんじが。そして、そのまま高音のまたたきも加わって。テレヴィジョンかなにかしらからのおっちゃん話し声サンプリングと、粒子の粗いビートの、のしのしした絡みあいだったり。これまでのもよかったけれど、よりミニマルに、硬質に。ばっきばきとビートが加速してしまいそうな打ち鳴らし感あるけれど、ぐつぐつ煮立てて抑えて抑えてな調子にとどまっていて、緊張感があってよいし。ゆるかった部分は、暗黒さに置き換えられていて。そのなかで話し声と声ドローンに、やっぱり女子感があって、とても好みな音。そして、Twitterでよいよいいってたら、アンナちゃんからDMきて、なんか送るから住所教えて! と。Female Bandティー・シャツを送ってくれましたん。
38. Norm Chambers “Sensory Margin” (VCO Recordings)
現行最強シンセシストなひとり(わたしのなか)なPanabriteのNorm Chambersの本名名義。ことし、本名なのおおいですよね。そしてVCOからという相性よすぎな。アンビエントな要素もつよいパナブラさんですが、今作、かなり飛ばしています。ドラムマシーンなビートが加速してゆき、そこに重なる宇宙シンセも加速。これまでのPanabrite作品のなかでも、全体としていっとう勢いのあるものではないかしらと。そしてシンセの音は隅々まですばらしく、って文句のつけどころが一切ない。すばらしい。つぎは日本に出稼ぎ中な宇宙奴隷かしら、とおもっていたら、でなかったよね。やっぱり日本にいると、むつかしいのかしら。2014年はコンピにsplitにもちょこちょこ参加してたし、秋にはレコードもだしてと、カセット界隈のなかでもすばらしい安定感。
37. Veiled “After Hours” (Silvox)
New Imagesからな心地よいギターの過剰反復なFrancisco Francoがあまりによかったんだけれど、そのメンバーのひとりなフィラデルフィアのRobert Franciscoと、バルセロナのArnau Salaのデュオ。
SilvoxもこのRobert Franciscoのレーベルです。Blind Prophet ReocordsからなLPとかんじはかわりません。ミニマルで黒くかすれたビートの反復反復反復反復、そして反復なところにおっさん声がはいってきたり。もうかなりな黒さ。2曲目あたり、けっこうシンセの音も高音だったりするけれど、やっぱり黒い。でも、全体がローファイな音だからか、ゆるくちょっと笑ってしまうのね、たのしくなってしまうのね、ききながら。Femminielliも笑っちゃうじゃあないですか、あれはキャラクターもあるけれども、暗黒でかっこいいはずなのに笑ってしまうかんじ。なんなんでしょう、湿度かしら。おなじくビートで黒くってなNostilevo方面よりは音自体くっきりとしていて。なんか地下で風遠し悪くってじめじめとしたおっさんっぽさがあるのに、これでもかと反復な心地よさかげん。
36. Cadeo “Glan Galà” (NO=FI Recordings)
メンバーがPolysickなひとらしい。イタリアのむかしなテレヴィジョンの番組サンプリングと、変態シンセ。サンプリングな音をシンセに溶け込ませるとかいう意識とかまったくなく、2曲目なんかは、バラエティー番組のはじまりで司会者がでてきて客が拍手しているだろう場面をなんの音もかぶせずそのままだったり、そしてそれをぶつっ! と切ってシンセと、かなりのでたらめ加減。もちろん、がびがび感あるつぶれたビートに、ときたま踏み外したように音を外してくるシンセに、ゆらめくドローンにと、そのほかの部分もよいですし、誰かしらの話し声が呪詛のように溶け込むあたりもよかったり。zine付で、音の風景そのままに、イタリアのおっさんたちがカラフルなノイズにゆがまされてます。イタリアのNO=FI Reocordingsは渋くてよいです。
35. Morkebla “Pisces Sun, Capricorn Rising” (Reckno)
イタリアのAlberto Rosso。映画だろうものからサンプリングした声を変化させたりして散りばめながら、ゆったりドローンにあわせるかのような遅いビート。のしのし感とすこしのノイズをまとった金属的な音にと、イタリアってかんじがする。地味ではあるけれども、ツボおさえてるかんじ。ときおりの軽快さと、シンセのきらめきも、そのほかのゆったりな空間があるから、より軽く、よりきらめくかんじ。これからがたのしみ。レコードが主に、なころって、馬ジャケットにハズレないとおもってたけれど、馬Jカードも同様なのかしら。いままで、馬Jカードあったかしら。Where To Now? からもよかった。
34.Bad User Experience “CGI” (Nostilevo)
またまたNostilevoのんです。ほんと、ことし大好きだった。これもSiobhanユニットなんだよね? つぶれたビートに、音程壊れたローファイシンセが、すべての音げしゃげしゃななか小気味よいフリしながらすすんでゆき。そのままげしゃげしゃな まますすむのかとおもいきや、2曲目からSFづいてきます。ぺきぺきシンセの反復反復と、黒い車でネオン街真ん中走ってるかんじ。で、そこに投げやり太い 低音のビート、で。そこに脱力しきった女の子ヴォーカル。たまらない。3曲目、音おっきい、とおもったら、曲途中でバランスが変化していって、こもってゆ く。B面。ぺきぺき反復に、げしゃげしゃ声サンプリング。で、けっこうビートが走り出してびびる。このあたり、Gung Of DucksのHaf Hafにもあった、黒いけれどもなんかたのしい音も射し込んできて、暗い黒いだけじゃあない、よさ。マイクを口ぎりぎりにしてしゃべってるような変調声に、ローファイなシンセとかっすかすビート。女の子部分がもうちょっと多ければ、もっとよかったけれど、これはこれですごくよい。
33. Demonstration Synthesis “DS8” (Adhesive Sounds)
モントリオールの新星。2014年のうち、年末発売なデンマークPhineryからので15本も出すっていう。カセット界隈は、たくさん出すひとって追うべきだとおもうのね。それだけ調子がよいということ。しかも、このひと、いろんなところからだしてる。そのうち買えたのは2、3、8、10、15だけれど、Rotiferからな2で知って、よい鳴りなシンセのニューエイジィな、とおもったら、音のゆれが独特でよかったり、曲によって鳴り方に変化がけっこうあったりと。そして、この8でかなりビートをいれてきたりと、幅がひろい。Angel 1系な楽園感あります。ことし、作品番号がいくつまでゆくのかたのしみ。本人がどんなひとか謎なのもよいです。
32. Pal “Pal - EP” (Birkhouse Recordings)
Morgan Barfieldがヴォーカル、Canoe Club(レーベルオーナー?)が音楽を、なブリストルのデュオ。紙スリーブのアートワークがとてもよくって。inc.顔。もしくはHundbissのPrimitive Art顔。それだけで買ったらよかった。そんなアートワークだから、もっとヘンなひとかとおもったら、すごく心地よい。見た目で判断してはいけません。ちょこっとさわついたノイズをまとったりしながらな変則ビート、控えめで全体的に淡い印象のシンセが、つぎつぎと音色かえながら重ねられながら、浮遊して。そしてビートの切れ目にはアンビエンス感にきらめくシンセにと、軽やかに複雑。そこに、歌なんだけれど、それも艶があり芯があるけれど軽やかでよいです。なんかもっと濃ゆくうたえそうなフンイキがあるけれど、ちからが抜けたかんじ。軽快さに、声のさいごを切り取って反復させたりとか、ビートにちからの程よく抜けたポップかげんとか、90年代真ん中ティックなポップさがあるんだけれど。でも。曲の展開がけっこう複雑に変化してゆくし、3曲目は声にビートにとすべてにダブな処理で、風景がゆらめきゆがんで。B面2曲目長尺な “Mama” すべてが細切れに配置されててて、それを包み込んでくるシンセとか、全体のリヴァーヴがかった淡さに、そこからすこしずつメロディがちゃんとつらなって、うたに曲になってゆくかんじとか、よいな。淡くいろいろ引き算してるかんじもしながら、細やかにたくさんなことをつみあげて、けっこう複雑な展開、でも軽やかさがあって。]
31. Ausculation “s/t” (1080p)
Golden DonnaことJoel Shanahan、新名義です。このあとにDigitalisからPurupraっていうまた別の名義でもはじめて。Not Not Funからだしてたひとですけど、きょねんの秋なField Studiesからのん、ことし冬なSilkからのんがすばらしかった。A面はじめのうちは、あたらしい名義でやらなくったってというハウス感はあります。激甘なシンセのメロディ。でも、そこにまとわりつく音たちがなんだかざらつき、それでいてこれでもかと甘い音はそのまま。で、A面のあいだにも音はこもりだして、B面では全体にざらついた靄がかかって、かたかた、ざわざわとした物音の奥からシンセの音が浮び上がってきてっていう、持ち味な甘さはしっかり残したまま、かなり音のバランスと質であたらしいことしてる。かっこいい。Twitterで、ニッポンゆきたい! とからんできたんだけれど、誰かよんであげて! 飛行機、2席くらいつかうけれど。
30. Giant Claw “22M Never Felt So Alone” (Suite 309)
軽い! DARK WEBがでた直後にリリースされたんだけれど、過剰にはじけてる。かといって、Cream Juiceまでの暴発感はなくって、まっすぐきらきらダンスしてて。DARK WEBでは音がたくさん重なってるようで、すごく引き算してるとおもうのね、空間。そこをこれでもかと埋めたかんじ。だからといって、一定なビートがとかではなく、曲のあいだでころころかわるし、A面2曲目中盤のようなすこし気恥ずかしくなるかんじのシンセのメロディ、あぁ、Giant Clawはやっぱりシンセシストだわ、っておもう。そこからびっちびちいってるシンセにかわったりとか、ビートだけでなく、つぎからつぎな音の変化。このタイミングでこういうのんをだしてくるあたり、Keith “Kawaii” Rankinさんはすばらしい。
29. Torn Hawk “Through Force of Will” (Not Not Fun)
もはや説明不要なLuke WyattによるTorn Hawk。2014年、カセットテープ方面では1080pからInifiniti名義でおもいきりアンビエントなのもだしてたけれど、やっぱりこちらかな。これきいたときにおもったのが、このひと本気で登りつめようとしてる。2013年のCD-R作品のようなばっきばき反復感もあるけれど、Big Gold Beltで当時の恋人の横で弾いてたような熱いギターがメインくらいにきてて、これ、そのまま年末のMexican Summerのにも通じてる流れではあるけれど、こちらのほうがもっとギターギターしてた。Inner Tube並の熱さがありながら、そのギターの音は変態化、あいだにInfiniti名義まではゆかないけれどもなアンビエントもはいってくるし、作品としての幅がよい。Emeraldsにあったはずの未来があった。Meditationsさんで買ったんだけれど、解説文がウォーってなっててたのしかった。これが2014年の100本目のカセットテープでした。
28. Alis “Things Next Door” (Astro:Dynamics)
SUBEENA名義でPlanet Muからだしてたベルリン女子。鼓動のような低音のリズム。そこに重ねられる声の反復とドローン、徐々に厚くなる声はノイズを発しながら。2曲目も、ゆらめきたっぷりな声の反復、そこにゆったりと同じくゆらめく低い音のリズム。で、声のループが重なり重なり、そこに熱を持ったドローンも重なって。Julianna Barwickほど神々しいかんじではないけれど、Katie Gateryほどノイズとビートがはちゃめちゃにというかんじではなく、そのまんなかあたり。女子声もの好きなかたはぜひ。
ただし、短い。Opal Tapesのコンピレーションに参加してたんで、今後でたりするのかしら。2015年の動きがたのしみ。2014年躍進するはずだったAstro:Dynamicsのピークはここでした。Quiltlandはよかったけれど、なんか好きではないかんじのただきれいなエレクトロニカみたいな方向へ傾いてるんで、もういや。
27. Assembler “mindhackers paradise & iqra / aiwa” (Brystet)
年末にBLさんでインストアーライブをみて、すごくよくってライブ終了と同時に売り出されたこれ、大人げなくつかみとりました。コペンハーゲンInfinite WavesからもだしてるClaus Haxholmのソロです。コペンハーゲンのひと、っていうかキャップかぶって陽気なアメリカなひとみたいだった。音はAcetic Houseあたりからだしてもよいかんじ。のしのし低音もくるし、ミニマルすぎる展開もあったり、きんきん感もあったり、そこに冷たいニューエイジィシンセ。自主? なのもInfinite Wavesからのんもよかったけれど、特殊ケースにカード入り2本組みな装丁なこれを推したい。
26. Vapor Gourds “Low-Jack Miniatures” (New Camp Records)
なまえから、おととしはやったVaporwave系かとおもいきや、おもいっきりヘンです。で、検索したらGiant Clawの1stレコードのんにジャケットが似てるなぁ、とおもったまま逃したひと。ことしきいたカセットテープをすべて細切れにしてミックスしてしまったくらいの飛び散りかげんなダンス。ドローンななか呪術感ある声のゆらめき、そこから一気に奇怪液状シンセの飛び交いとビートが。そしてまた声サンプリングから、液状ビートとサイレンがなりひびくなか、PC音の暴発。B面は乾いたエレクトロニックなノイズとグリッチ感にギターな音まではいったり、ごもごもとかすれたスクラッチ音のみでビートを構成してみたり、ぎっらぎらなまっすぐダンス感、そして年末すごいなとおもってたミニマルで音すくなすぎるビートになってみたり、むーんと単音シンセのドローンだったり、かとおもえば立体感だしてみたりと、つぎからつぎに表情かえすぎて、終始、変です。すばらしい。
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