2020年2月1日土曜日

Jessica Forever

Jessica Forever
きょねんからLSTNGTとpooteeさんが言及してて気になりまくってたJessica Foreverをようやっと。

時間までロビーでまってたらThis Catがきて、予約してた席にすわったら真ん前だった。
この企画のやつ全部チラシがつくられててずらってならんでて。ジェシカのはうしろによけいなでてきすらしない近未来都市やらがつけたされてて、コピーとフランス版のチラシだけあたえられて本編みてないひとがつくってるだろくらいな。

キャロリーヌ・ポギとジョナサン・ヴィネル監督。ジュリアン役の子がイリナ・イオネスコの孫だった。
感想を。以下ネタバレまみれです。念のため、ヒューマントラスト渋谷公開が終わってからなきょう更新。



『「謎の女戦士”ジェシカ”率いる社会不適合者となってしまった“はぐれ者”たる孤児たちと、彼らを抹殺するため無慈悲な特殊部隊を送り込む管理社会との熾烈な戦いを描いた異色の近未来SFスリラー』(青山シアターHPより抜粋)」というのをLSTNGTがかいたAvyssの記事から抜粋。
説明しうる筋書きとしてはほんとこれだけで。

自動車、バイクの現実感ない光沢感や、武器の種類の多さと選択とか、ゲーム感がつよい。設定もゲームみたい。ただそこにあるだけの家々と、その狭間を前面から迫りくるドローンを撃つところだったり。背景真っ黒ななかの儀式の様子だったり。ルカの妹との再会なのか幽霊なのかな文字だったり、浮かび上がるケーキの文字だったり、けっこう唐突で自由で驚く。
固定された各ショット。自然と建築物と人物の配置がいちいちしっかりしてて、宗教画的であり、ゲームのシーンのような非現実感もしっかりと風景として描いてて、過剰な夕陽のなかでの姿や、なんどかでてくる集合写真的横並びや、その集合写真のまま一斉掃射やらすこし過剰な場面が際立つ。その過剰な整然さがほんと過剰でいい。圧倒的な自然の風景のうつくしさとの対比。

日本版チラシにかかれた「ディストピアに降り立った孤高の女戦士」から想起されるようなジェシカの戦いは、ない。肉体的な戦いではない。家族を再構成しようとこころみる。祈りと最低限のことばと物資の提供、そこにいるすべてのものの母のような振る舞い。
そして犯罪を犯して追われてるらしき屈強な男たちはみんな子供のようで、兄弟のような。ライデンのもう昼寝はみんなでしないのかってはなすところの表情が子どものようで違和感あってぐっとくる。
家族の再構成なだけあって(ほんとの家族でもうまくいくかっていうのもあるけれども)ほころびはうまれる。
ケヴィンを失ったジュリアンがそこからひとりでかかえてライデンにはなしをしようとするも、命を絶ってしまうまでの家族であってもこえられない虚無感がつらい。生身ではあるけれども、それぞれがオンラインで共通のゲームをしている仲のよいグループかのような、仲がよく生死をかけてともに生きていても、なにかしらのふみこめなさ、あきらめ。そのあきらめと信仰の静かなゆらぎと、暴発。LSTNGTがAvyssでかいてたけれど、若ものたちの虚無感が投影されてるみたいな。
救うとみせかけて、何も起こらない虚無をあたえてるんじゃあないかとか。だからそこから暴発へ向かう。音へと向かう。虚無か暴発しかない。
みんなのことがわかる、っていう時間がそろっての昼寝っていうただ全員が寝ているっていうことだったり。あとつながれるのは音楽がなっているとき。ケヴィンを失った際にそれぞれが落ち込むところでつながる瞬間っていうのが音楽っていうところがよかった。そのときの牛乳こぼしまくりがいとおしい。
短編TANT QU'IL NOUS RESTE DES FUSILS À POMPEでもギャンググループへの入団なときの全員爆踊り感がよかった。あれをみたら、あらすじはちがえども、監督たちの描きたいことがけっこうつながって浮かび上がってくる。
ルカとミカエルが、音がきこえるっていうだけで抜け出してパーティーにまぎれこむのもいいな。ここまでかいてかんがえて、穏やかな虚無よりも、自らを燃やすこと、危険とわかりながら音へ向かうことを望み、そして全員で大量の敵へと向かうことを選んでしまうんではとか。
映画の感想みたいなことひさびさにかいたのでよくわからなくなってきた。

ミカエルだけがひとり外部を知って、恋をして。真実をはなされた相手の女の子の返しがアクロバティックで黒沢清にでてくる幽霊かよってくらいで笑ってしまった。彼女を置いた木の光はなんなのか、唯一現実とつながる光のような気もするけれど、そこから現実にもどらずにやはりゲームをつづけてしまう。虚無をかかえながらも(それぞれがそこからはなれてしまっては実際に死しかないっていうのもあるんでどっちみち虚無だけれど)、ジュリアンのことにしても誰もがどうすればいいかわからないので、ただよりそうようにつきすすむ。最後の集合写真的な横並びがまたいいな。


あとは。
ヴァージンスーサイズマッチョ男版みたいな穏やかな光さす昼寝の午後みたいな、しかも人数多いみたいなのまでもほほえましくかんじる。
アイス食べまくりでかわゆい。
あとバイクがベッドに、っていう乱暴さがかわいい。
題字が光沢のある金属っぽいあの文字で。
ストーリーにチラシの画像をのせたら、Jesseが「me」っていってきたのでスルーした。

Vanessa Amaraがガチのクラシック音楽かとおもったくらいにハマってた。あたらしい映画が、ちゃんとあたらしい音楽とであって自然とそのなかでつかわれてるのが最高、っていうかそういうのがなさすぎる。
コピーとかで気になってSF好きってひとがみたなら、設定のゆるさとかに腹立てるひととかいるのもわかるけれども、場面場面のエモさ、過剰さとが印象深くてすごく好き。


TANT QU'IL NOUS RESTE DES FUSILS À POMPEもぜひ。






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